出会う
対立しているのではなく、ただ別の場所に立っている違い。
タバコは重い煙の香水ではない。乾かされても燃やされていない一枚の葉への観察である。ひとつのもののふたつの状態のあいだにとどまる。蜂蜜。革。多数に属さない香り。
私は、挑発を必要としない違いの言葉。ひらかれるまで十分に待った葉の言葉。ありふれたものの列に自らを並べない香りの言葉。
聴く
違っていても、あたたかい。
小さな瞬間がある。多くの人と同じ道を歩いていないと気づく朝。部屋の誰とも分かち合えない好みとともに座る午後。違いもまた確かなものだと知る一瞬。
そのとき、タバコの言葉が語られる。許しは求めない。まっすぐ立つだけ。
すべての違いが声高なわけではない。風変わりでもない。反対でもない。
香りはひとつでは生まれない。タバコが声を見つけるために借りた断片。
開くとき
タバコベルガモットイランイラン
落ち着くとき
アンバーベンゾインシダーウッド
残るもの
パチョリブラックムスクインセンス
こだま
持ち帰る香り。分かち返す片隅。
タバコの言葉のなかでは、別々のどの道にも意味がある。
タバコは持ち帰る香りになりうる。机の上の小さな片隅。夕べのための革と蜂蜜のひと重ね。
あるいは分かち返す片隅に。まだ揃っていないもの。説得を必要としない物語。ただ聴かれるためだけに。