出会う
遅れて届く輝き。時間がやさしく浸してきたから。
プーアル茶オレンジは甘い柑橘の香水ではない。プーアル茶のなかで何年も熟成したオレンジの皮の観察である。縮む皮。深まる茶。時間が果実の香りを褪せさせず、明るくする。
私は、ゆっくりと届く輝きの言葉。鋭さを置いてくるまで十分に待ったオレンジの皮の言葉。時間が浸してきたから、まだあたたかい明るさの言葉。
聴く
熟成したから、明るい。
小さな瞬間がある。古い茶箱を開けると、オレンジの香りがまだなかにある朝。歳月を経ても翳らなかった喜びに気づく午後。陽の光のない明るさの一瞬。
そのとき、プーアル茶オレンジの言葉が語られる。急がない。ただ、もう少し浸すだけ。
すべての輝きが速く届くわけではない。新しくもない。みずみずしくもない。
香りはひとつでは生まれない。プーアル茶オレンジが声を見つけるために借りた断片。
開くとき
オレンジグレープフルーツベルガモット
落ち着くとき
茶葉ゼラニウムペッパー
残るもの
パチョリシダーウッドベンゾイン
こだま
持ち帰る香り。分かち返す片隅。
プーアル茶オレンジの言葉のなかでは、ゆっくりとした浸出のどれにも意味がある。
プーアル茶オレンジは、家に持ち帰る香りにもなる。机の上の小さな一角。涼しい朝のための、温かなひと重ね。
あるいは、分かち合うための一角。年月を経てなお明るいこと。作り直しのいらない話。ただ聞かれるために。