出会う
一日に三度変わるから、忘れがたい。
白芙蓉はありふれた白い花の香水ではない。一日を通して色を移す花の観察である。夜明けに白。昼に桃色。夕暮れに赤。ひとつの花、三つの状態。
私は、動きのなかに生きる忘れがたさの言葉。決してじっとしていない花の言葉。一本の茎のなかの三つの香りの言葉。
聴く
変わるから、忘れがたい。
小さな瞬間がある。白芙蓉を見つめる朝。花が薄紅に変わるのを見る午後。自分もまた少し別の誰かになっていると気づく夕べ。
そのとき、白芙蓉の言葉が語られる。留める必要はない。ともに移ろうだけ。
すべての忘れがたいものが重くなければならないわけではない。静止でもない。強いられてもいない。
香りはひとつでは生まれない。白芙蓉が声を見つけるために借りた断片。
開くとき
ブラックベリーマンダリンリーフ白芙蓉
落ち着くとき
セレウスローズネロリ
残るもの
ムスクサンダルウッドバニラ
こだま
持ち帰る香り。分かち返す片隅。
白芙蓉の言葉のなかでは、どの色の移ろいにも意味がある。
白芙蓉は、家に持ち帰る香りにもなる。机の上の小さな一角。移ろうことを知る花のひと重ね。
あるいは、分かち合うための一角。もう朝の名前とは合わないこと。変わらなさのいらない話。ただ聞かれるために。